何か新しい事業を始める場合や個人事業から会社(法人)として活動していく場合など、会社(法人)として事業活動するためには、会社を作らなければなりません。
本店の所在地を管轄する法務局に「会社設立登記」をすることによって会社は誕生します。
単に「会社を作ります」と宣言したり、税務署に申告したりといった方法で会社らしい活動をしていても、「会社設立登記」をしないと法的に会社として存在しているとはいえません。
登記の手続きは非常に重要な手続きです。
会社設立登記をすることによって、会社の登記簿ができ、会社として法的に存在していることが公示されます。会社として存在しているかどうかは、だれでも知ることができます。手数料さえ払えば会社の存在していることが確認できる「登記事項証明書」を取得することができます。こちらは誰でも取得可能です。
会社の登記簿ができ、会社の登記がされている以上、その会社は存在していると判断されます。
会社は事業を停止したり、活動しなくなったりしたからといって自動的に解散するわけではありません。
自主的に事業活動をやめるにはその会社を解散させるという会社としての意思を決める必要があります。株式会社であれば株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上の賛成)で解散する旨を決めなければいけません。
そして、株式会社が解散したときは、解散の日から本店の所在地においては2週間以内に、管轄の法務局において解散の登記をしなければいけません(会社法926条)
この解散の登記をしないと、いくら解散の決議をしたからといって、会社の登記簿に解散した旨が記載されません。記載されないということは、第三者からすると解散した事実は知る由もなく、まだ存在している会社として判断されます。
会社を解散させる手続きは煩雑で大変な作業です。当法人にお問い合わせいただく相談で、解散させるかどうかを迷われているといった相談をよく受けます。もう事業活動を行うことはないが、解散させるのも手続きが大変そうなので、そのままにしておこうかと考えいるようです。
また、いつかその会社を使って事業をやるかもしれないといった理由で解散させるかどうか迷われているかたもいらっしゃいます。
今すぐに解散せず、休眠状態(税務署に対して、休眠届を提出する場合も含む)を選択することは可能です。しかし、休眠状態というのは、あくまで事業をしていないという状態であって、法人としては、法的に存在していることに変わりはありません。ですので、
・確定申告
・定期的な変更登記(役員変更登記)
・法人住民税の支払い
は、休眠状態でも発生することになります。
事業活動はせず、休眠状態となっている場合、たとえ休眠届を出していても、登記簿上は、通常の事業活動をしている会社と変わりません。
解散決議をし、解散登記がされると、登記簿に「解散した旨」が記載されます。登記簿は誰でも見ることができますので、だれでも
「この会社はもう解散したんだな。新たな事業活動はしないんだな。」
と判断できます。ですからこの会社と取引しようとはしないでしょう。
しかし、休眠状態の会社については、登記簿上から解散しているか判断できません。登記簿上は、事業活動している会社と変わりありません。その会社を代表している役員も載ったままです。その人が会社を代表していると判断します。
休眠状態となっていたとてしても、登記簿が存在するということで、それを信じて取引する人がいるかもしれません。それによって、不測の損害が発生する可能性も0ではありません。休眠しているからといって、役員の会社法上の第三者への損害賠償責任もなくなるわけではありません。
ですので、事業活動をしていないのに、休眠状態(何もしない)にしておくというのは、実はリスクがあるということは認識しておく必要があります。
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