簡易合併とは、吸収合併をするに際し、消滅会社の規模が存続会社と比較して小さい場合に、合併契約の株主総会での承認を得ることを要しないこととする制度のことをいいます。
存続会社の株主にとっては、吸収する会社の規模が比較的小さい場合に及ぼす影響は軽微であると考えられるところ、株主総会の招集のコストの削減と迅速な事業再編を可能とさせるため、政策的に認められた制度です。
簡易合併の要件としては、吸収合併の対価の額が存続会社の純資産額として、法務省令で定める方法により算定される額の5分の1を超えないとされています。
具体的には、
1 資本金の額
2 資本準備金の額
3 利益準備金の額
4 会社法第446条に規定する剰余金の額
5 最終事業年度の末日における評価・換算差額等の額
6 新株予約権の帳簿価格
7 自己株式及び自己新株予約権の帳簿価格の合計額
上記1から6までの額の合計額から7を減じた額を存続会社の純資産額とします。
ただし、次の場合は、簡易合併の要件を満たしていても、株主総会の承認決議を省略できない。
①合併差損が生じる場合
吸収合併により合併差損が生じる場合は、存続会社の分配可能額が減少する等株主に与える影響も少なくないため、簡易合併をすることはできないとされています。
②合併対価が譲渡制限株式である場合
譲渡制限株式の募集株式の発行等においては、必ず株主総会の決議が必要なところ、それとの平仄を合わせる観点から、株主総会の承認決議を省略できないとされています。
吸収合併を簡易合併で行うことにより、存続会社において、通常必要な株主総会での承認が不要になるので、株主総会を招集して、承認決議を行う必要がなくなります。この場合、取締役会設置会社では、取締役会の承認は必要になります。
また簡易合併で吸収合併を行う場合、存続会社の株主は、株式買取請求及び差止請求を行うことはできません。
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