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賃貸管理中の不動産会社を解散する方法|オーナー対応・入居者対応・管理契約の引き継ぎまで解説

賃貸管理をしている不動産会社を解散するときは、通常の会社解散よりも注意すべき点が多くなります。

 なぜなら、会社の内部手続きだけでなく、管理を委託している建物オーナーへの対応、入居者への通知、家賃の入金先や送金先の切換え、預かっている敷金・保証金・鍵・契約書類の整理まで必要になるからです。

 特に賃貸管理中の会社では、解散登記だけを先に進めてしまうと、

 ・管理の空白期間が生じる

 ・入居者からのクレーム窓口が不明になる

 ・家賃送金や敷金管理が混乱する

 ・オーナーとの管理委託契約の解約・引継ぎで揉める

といった問題が起こりやすくなります。

 実際に不動産会社の解散では、入居者の権利保護、管理契約の整理、敷金の取扱い、引継ぎ方法が重要論点になります。単に会社を閉じれば終わる話ではなく、法律面と実務面の両方から計画的に進める必要があります

賃貸管理中の不動産会社の解散は、なぜ難しいのか

 賃貸管理をしていない会社であれば、解散の中心は、株主総会での解散決議、清算人選任、解散登記、債権債務の整理、清算結了登記です。しかし、賃貸管理中の不動産会社では、それに加えて第三者との継続的な契約関係大量に残っています。

 たとえば、次のようなものです。

 ・建物オーナーとの管理委託契約

 ・入居者との賃貸借契約に関する連絡・苦情対応

 ・家賃の集金・送金業務

 ・滞納者対応

 ・修繕受付・手配

 ・敷金・保証金などの預り金管理

 ・鍵、入居者台帳、修繕履歴、点検記録の保管

 ・保証会社、火災保険、各種業者との連携

 このため、賃貸管理中の会社を解散するときは、「会社を閉じる」手続きと、「管理業務を止めずに移す」手続きを並行して進める必要があります。ここを誤ると、オーナーや入居者に不利益が出て、結果として解散手続全体が長引きます。

まず最初に決めるべきこと

 賃貸管理中の不動産会社を解散する前に、最初に整理すべきなのは、”「管理をどう終わらせるか」”です。

1.管理受託物件を全部洗い出す

まずは、現在受託している管理物件を一覧化します。

 ・どの物件を管理しているか

 ・各物件のオーナーは誰か

 ・管理委託契約の期間はいつまでか

 ・解約予告期間は何ヶ月か

 ・どの入居者がいて、滞納やクレーム案件があるか

 ・敷金・保証金・預り金がいくらあるか

 ・家賃の集金方法はどうなっているか

 ・保証会社や保険会社はどこか

 これを曖昧なまま進めると、解約通知や引継ぎ漏れが起こります。特に、契約書・入居者情報・修繕履歴・預り金残高が不明なまま会社を閉じようとすると、後で大きなトラブルになります。

2.後任の管理体制を決める

 次に、管理委託者である建物オーナーごとに、今後の管理体制を決める必要があります。

 主な選択肢は次の3つです。

・別の管理会社へ引き継ぐ

 ・オーナー自身の自主管理へ切り替える

 ・売却予定のため短期整理だけ行う

 この判断をしないまま解散だけ進めると、入居者対応の窓口が消え、家賃送金やクレーム処理が止まるおそれがあります。

 管理の空白期間は最も避けるべきで、旧管理会社の終了日と新管理体制の開始日に空白を作らないことが重要です。

賃貸管理中の不動産会社を解散する基本的な流れ

 賃貸管理中の不動産会社を解散する場合、実務上は次の順番で進めると整理しやすくなります。

1.解散前に管理契約・預り金・書類を棚卸しする

最初にやるべきは、管理業務に関する資産・契約・情報の棚卸しです。確認すべき代表例は次のとおりです。

 ・管理委託契約書

 ・賃貸借契約書の写し

 ・入居者台帳

 ・家賃入金履歴

 ・滞納情報

 ・敷金・保証金の預り状況

 ・修繕履歴

 ・設備の取扱説明書

 ・法定点検記録

 ・鍵類

 ・保証会社契約

 ・火災保険・各種保険の情報

 後任会社へ引き継ぐ際も、これらが揃っていないと、”「誰が何を預かっていたのか」「どこまで対応済みなのか」”が不明になってしまいます。

2.建物オーナーへ事情説明と方針確認を行う

次に、管理を委託している建物オーナーへ連絡し、今後の方針を確認します。このとき重要なのは、単に「会社を解散します」と伝えるのではなく、

 ・いつまで現管理会社が業務を行うのか

 ・いつから新体制へ移るのか

 ・後任管理会社の候補はあるのか

 ・敷金・預り金・鍵・書類の引継ぎをどうするか

 ・管理料や精算金はどう処理するか

まで含めて整理することです。

 建物オーナーから見ると、最も困るのは「管理会社がなくなったあと、誰に連絡すればいいのかわからない」状態です。そのため、解散そのものよりも、管理の継続性をどう確保するかが重要になります。

3.管理委託契約の解約条項を確認する

 管理委託契約には、通常、解約予告期間や解約方法の定めがあります。

 この条項を確認せずに進めると、違約金や損害賠償の問題がでることがあります。一般論として、管理委託契約では解約予告期間が設けられていることが多く、3ケ月前予告の例も紹介されています。また、解約通知は口頭ではなく、書面で残すことが重要とされています。したがって、まず契約書を確認し、

 ・解約通知は何日前まで必要か

 ・書面通知が必要か

 ・中途解約違約金の定めがあるか

 ・精算方法はどう定められているか

 を把握してから動くべきです。

4.後任管理会社への引継ぎ準備をする

 後任管理会社が決まったら、引継ぎ準備に入ります。この段階で重要なのは、管理の空白期間を作らないことです。最低2週間は確保したほうがよいとされています。また、引継ぎ対象には、鍵類、契約書類、修繕履歴、法定点検記録、預り金残高、滞納状況、家賃入金状況などが含まれます。

5.入居者へ通知する

 管理会社が変わる場合、入居者への通知も必須です。ここが遅れると、家賃の振込先誤り、連絡先不明、クレーム先不明といった混乱が起きます。通知内容としては、

 ・管理会社が変わること

 ・新しい管理会社の名称・連絡先

 ・家賃の振込先変更の有無

 ・賃貸借契約の条件自体は変わらないこと

 また、通知のタイミングは変更日の1ヵ月前を目安にする考え方も示されています。賃料振込先の変更は、入居者からすると詐欺と疑われる可能性もあるため、旧管理会社・新管理会社・オーナーの関係が分かる形で、丁寧に通知することが重要です。

6.宅建業の廃業届・免許返納・保証協会退会を行う

 賃貸管理中の不動産会社であっても、宅建業免許を受けている以上、会社解散に伴って宅建業の廃業等届出、免許証返納、保証協会退会などの手続きが必要です。法人が解散した場合、宅建業の廃業等届出は解散した日から30日以内が基本で、届出義務者は清算人とされています。また保証協会に加入している場合は、行政への廃業届だけでなく、協会側の退会手続きも別に必要です。

 

解散前に必ず確認したい5つのポイント

1.管理委託契約は解約するのか、引き継ぐのか

賃貸管理中の不動産会社の解散では、まず管理委託契約を終了させるのか、それとも後任会社へ引き継ぐのかを決める必要があります。ただ解約するだけでは、建物オーナーが次の管理先を探せず、入居者対応の空白が生じるおそれがあります。そのため実務上は、後任管理会社の候補を決めてから解約通知を出す方が安全です。

2.家賃の入金先・送金先をどう切り替えるか

 管理会社が解散する際にもっと混乱しやすいのが、家賃の流れです。

 ・入居者はどこに振り込むのか

 ・いつから新管理会社に支払うのか

 ・すでに回収済みの家賃は誰が保有しているのか

 ・オーナーへの未送金分はないか

 管理会社の経営悪化や急な停止では、家賃が送金されない、振込先変更の案内ができないといった問題が起こりうるとされています。そのため、解散を決めた時点で、家賃送金ルートの見直しは最優先で進めるべきです。

3.敷金・保証金などの預り金をどう処理するか

 賃貸管理会社が預かっている敷金・保証金は、曖昧なまま解散すると非常に危険です。

 ・どの入居者をいくら預かっているか

 ・そのお金は会社口座で管理されているのか

 ・建物オーナーへ返すのか

 ・後任管理会社へ引き継ぐのか

 といった点を明確にしなければなりません。

 管理会社側の資料不足や引継ぎ漏れがあると、退去時に”「敷金が返ってこない」「誰が預かっているのかわからない」”という重大トラブルになります。実際、管理会社の倒産場面では、敷金返還や契約内容の不明確化が大きな問題として挙げられています。

4.修繕・クレーム・滞納案件を引き継げるか

 管理会社の解散時に見落とされやすいのが、未解決案件の引継ぎです。たとえば、

 ・修繕依頼を受けていたが未対応

 ・滞納者に督促中

 ・騒音トラブルが継続中

 ・原状回復の協議中

 ・更新や解約の予定が近い

 といった案件は、単に一覧にするだけでは足りません。経緯、相手方とのやり取り、どこまで進んでいるかを後任へ引き継がないと、入居者・オーナー双方から不信感を持たれます。

5.事務所賃貸借契約や自社保有物件の整理も必要

 会社自身が事務所を借りている場合には、事務所の賃貸借契約の解約、通知期間、敷金・保証金の精算、原状回復も問題になります。また、自社保有物件を賃貸している場合は、契約を解約するのか、賃貸借契約を維持したまま売却するのかを決める必要があります。これらは契約内容を確認せずに進めると、違約金や余計な原状回復費用が発生しやすいため、解散前の確認が不可欠です。

賃貸管理中の不動産会社を解散するときによくある失敗

1.解散登記だけ済ませて、管理の引継ぎが止まる

最も多い失敗は、会社法上の解散手続きを先に進めすぎて、賃貸管理の実務整理が追いつかないケースです。会社としては「解散したつもりでも、

 ・入居者からの問い合わせ先が残っていない

 ・オーナーへの送金が止まる

 ・鍵や書類が整理されていない

 ・修繕案件の担当者がいなくなる

といった状態では、実務上は何も終わっていません。

2.契約書を確認せずに解約通知を出す

 解約予告期間や違約金条項を確認せず、急いで解約通知を出してしまうと、かえって清算コストが増えることがあります。

 管理委託契約も事務所賃貸借契約も、まずは契約書確認が先です。

3.入居者通知が遅れて家賃トラブルになる

 通知の遅れは、入居者にとって「どこへ払えばいいのか分からない」状態を生みます。これば未払いトラブルや問い合わせ殺到の原因になります。振込先変更がある場合ほど、早めの周知が必要です。

4.預り金の残高が不明なままになる

 預り金の一覧がないまま解散に入ると、清算人が後で把握できず、トラブルになりやすいです。敷金・保証金・未送金家賃などは、解散前に必ず一覧化しておくべきです。

5.保証会社や保険関係の切換えを忘れる

 保証会社の契約や火災保険の窓口は、見落とされやすいポイントです。保証会社の引継ぎは特に見落とされやすいリスクとして指摘されており、新管理会社の選定段階で引継ぎ可否を確認しておくのが安全です。

放置するとどうなるのか

 「管理物件があるから大変そうで、まだ解散に踏み切れない」そう感じる方は少なくありません。しかし、放置すると次のような問題が積み上がります。

 ・固定資産税、修繕費、管理費などの維持コストが続く

 ・契約書類や台帳が散逸する

 ・担当者退職で引継ぎ不能になる

 ・家賃送金や敷金管理の責任が曖昧になる

 ・トラブル案件の経緯が分からなくなる

このような場合は早めに相談したほうがよいです

 ・管理物件が複数あり、どこから整理すべきか分からない

 ・オーナーとの管理委託契約書が見つからない

 ・家賃の送金や敷金残高が正確に把握できていない

 ・入居者対応中の案件や滞納案件が残っている

 ・保証会社や火災保険の関係整理が必要

 ・宅建業の廃業届や保証協会退会も同時に進めたい

 ・会社所有不動産の売却や継続保有も絡んでいる

 賃貸管理中の不動産会社の解散は、会社法・不動産実務・賃貸管理実務・宅建業手続きが重なるため、一般の会社解散よりも整理すべき範囲が広くなります。だからこそ、早い段階で全体像を整理し、”「何を先にやるか」”を決めることが重要です。

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各種会社(法人)の解散

 株式会社とは、株主から委任を受けた経営者が事業を行い、利益を株主に配当する会社のこと。株主は出資した限度で責任を負います。

 有限会社とは、以前設立が認められていた形態で有限会社法を根拠に設立させた会社のこと。現在は設立できません。

 合同会社とは、原則として出資者と経営者が同じで、所有と経営が一体化している会社のこと。出資者は株式会社と同様出資した限度で責任を負います。

 合資会社とは、有限責任社員と無限責任社員の2種類の社員が存在する会社のこと。

 合名会社とは、無限責任社員のみによって構成される会社のこと。社員全員が会社債務について直接無限の責任を負います。

 一般社団法人とは、人が集まった組織体で、剰余金の配当を行うことを目的としない法人のこと。

 一般財団法人とは、財産の集まりに対して法人格を与えられた団体のこと。一般社団法人と同じく剰余金の配当を目的としません。

 特定非営利活動法人とは、ボランティア活動などを行う団体で法人格が付与された法人のこと。

 医療法人とは、病院、医院や歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設することを目的として設立された法人のこと。

 宗教法人とは、教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを目的とした団体のこと。都道府県知事若しくは文部科学大臣の認証が必要です。

 学校法人とは、私立学校の設置を目的として設立される法人のこと。都道府県知事若しくは文部科学大臣の認可が必要です。

 社会福祉法人とは、社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の定めるところにより設立された法人のこと。

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