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不動産会社をやめようと思ったとき、
「とりあえず解散すればいい」
と考えてしまう方は少なくありません。
しかし、不動産会社の場合は、一般の会社以上に解散以外の選択肢を検討する意味があります。
なぜなら、会社名義の不動産、借入、管理物件、宅建業免許、保証協会、従業員、取引先など、会社を閉じるだけでは片付かない要素が多いからです。
不動産会社の出口戦略として、
・不動産を売却する
・不動産を個人へ移転する(現物分配)
・M&A(会社ごと売却)
といった選択肢があります。
また、不動産会社の廃業・解散は最短でも2カ月以上、実際には4~5カ月程度かかることが多く、M&Aの方が手取りや承継面で有利になる場合があります。

不動産会社をやめたい場合、選択肢は大きく3つあります。
1.解散・清算する
2.M&Aで会社ごと売却する
3.事業譲渡で一部または全部の事業を引き継ぐ
不動産会社では、
「会社を終わらせたい」のか
「事業や不動産は引き継いでもよいのか」
で結論が大きく変わります。
特に、収益不動産を保有している、管理契約が生きている、従業員や顧客基盤が残っているという場合には、解散よりもM&Aや事業譲渡の方が合理的なケースがあります。

1.解散・清算
会社を終了させる方法です。会社財産を換価し、債務を支払い、残余財産を分配して会社を消滅させます。
特徴
・会社そのものを終わらせる
・売れない資産や負債も自分で整理する必要がある
・官報公告など法定手続きが必要
・最短でも2カ月半以上、実務上は6ヵ月以上かかることもある
2.M&A
会社ごと第三者へ譲渡する方法です。
特徴
・会社、不動産、契約、顧客、従業員などをまとめて引き継げる可能性がある
・買い手が見つかれば、解散より負担が軽くなる場合がある
・収益性や将来性が評価されれば、単純な資産処分以上の価値が付く可能性がある
3.事業譲渡
会社そのものではなく、特定の事業だけを切りだして譲渡する方法です。
特徴
・「管理事業だけ」「仲介部門だけ」など、一部を切り分けて譲る考え方がしやすい
・会社を残したまま事業整理できる場合がある
・その後に会社を解散する、という二段階の進め方もあり得る

不動産会社を解散すべきか、M&A・事業譲渡にすべきかは、感覚ではなく、次の観点で整理すると判断しやすくなります。
1.不動産の内容
まずは、”不動産の内容”を総合的に考える必要があります。たとえば、
・収益物件として回っている
・立地がよい
・稼働率が高い
・将来の賃料収入が見込める
という不動産があるなら、解散してバラ売りするより、会社ごと・事業ごと引き継いだ方が評価される余地があります。一方で、
・売れない不動産
・負動産化している不動産
・修繕負担が重い物件
が中心であれば、M&Aの買い手がつきにくく、解散・清算の方向によりやすくなります。
2.借入や抵当権の状況
不動産会社の解散費用や難易度は、借入付き不動産をどう整理するかで大きく変わると整理されています。借入や抵当権が残っている場合は、
・解散しえ自力で整理するのか
・M&Aで会社ごと引き継ぐ余地があるのか
・事業譲渡で切り離せるのか
を検討する必要があります。
3.管理物件・契約関係の有無
賃貸管理中の不動産会社では、入居者対応、オーナー対応、管理契約、預り金、修繕履歴など、継続的な契約関係が大量に残ります。
このような会社は、解散すると整理負担が非常に重くなりやすいです。管理契約や顧客基盤が残っているなら、事業譲渡やM&Aの方が現実的なことがあります。
4.税務負担と手残り
廃業の場合、資産処分により税負担が重くなりやすい一方、M&Aでは売却益に対する税率が比較的低く、純資産に「のれん」が加わるため、手元に残る金額が多くなるケースが一般的です。つまり、
「早く終わらせたいから解散」
が必ずしも経済合理的とは限らないということです。
5.従業員・取引先・免許の引継ぎ可能性
解散すると、通常は従業員の雇用や取引先との関係は終了に向かいます。一方、M&Aでは、従業員や取引先との関係を維持・承継できるメリットがありとされています。そのため、
・ベテラン社員が残っている
・宅建士や管理実務の担当者がいる
・取引先やオーナーとの関係が安定している
という場合には、M&Aや事業譲渡の検討価値が高まります。

次のようなケースでは、解散・清算の方が現実的です。
1.買い手に引き継げる事業価値が乏しい
・実質的に営業を止めている
・顧客基盤が残っていない
・管理物件がほとんどない
・従業員がいない
・不動産も収益性が低い
このような場合は、M&Aや事業譲渡を検討しても、買い手が付きにくい可能性があります。
2.不採算資産や問題案件が中心
売れない不動産、借入や抵当権、管理物件の入居者対応、未了の請負契約、複雑な相続関係などがあると、期間はさらに長くなりやすいとされています。ただし、これらの要素が強すぎる場合は、M&Aの対象としても魅力が弱く、結局は清算を前提に整理する方が現実的なことがあります。
3.会社そのものを完全に終わらせたい
・親族も承継しない
・事業も残さない
・不動産も最終処分する
・会社を残す理由がない
この場合は、解散・清算の方向が自然です。

次のような会社は、解散よりM&Aの方が向く可能性があります。
1.収益不動産を保有している
収益不動産を保有している場合や事業として成り立っている場合は、M&Aが適した選択肢と整理されています。
典型例
・家賃収入が安定している
・稼働率が高い
・継続的に利益が出ている
・売却すると税負担や手間が大きい
2.管理会社としての仕組みが残っている
・管理契約が多数ある
・オーナーとの関係が続いている
・入居者対応の体制がある
・宅建士や実務担当者がいる
このような会社は、会社ごと引き継ぐことで、買い手にとっても即戦力になりやすいです。
3.解散より手残りを重視したい
M&Aでは、純資産にのれんが加算される可能性があり、廃業よりも手元に残る金額が多くなるのが一般的といわれています。つまり、
「会社を閉じる」ことが目的でも、結果としてM&Aの方が有利
ということがあり得ます。
4.従業員や取引先への影響を抑えたい
解散すると、雇用や取引関係は基本的に終了へ向かいます。
一方、M&Aなら、従業員や取引先との関係が継続しやすいというメリットがあります。

事業譲渡は、M&Aと解散の中間的な選択肢として考えると分かりやすいです。
1.会社全体ではなく、事業の一部だけ残したい・譲りたい
たとえば、
・賃貸管理部門だけ譲渡したい
・仲介部門だけ引き継いでもらいたい
・不採算部門を切り離したい
というケースでは、会社ごと売却するM&Aより、事業譲渡の方が設計しやすいことがあります。
2.資産と事業を切り分けたい
・不動産は手元に残したい
・事業だけ譲りたい
・顧客契約だけ移したい
という場合、解散一択ではなく、まず事業譲渡で整理してから、残った会社を解散するという順番もあり得ます。
3.いきなり会社ごと譲るのは難しい
会社全体では負債や不要資産が重く、買い手がつきにくい場合でも、事業の一部だけなら引受先が見つかることがあります。

廃業・解散にかかる法定費用として、
・解散登記費用:30,000円
・清算人登記費用:9,000円
・清算結了登記費用:2,000円
・官報公告費用:40,000円~50,000円
などがかかります。さらに、設備や在庫の処分費、事務所・店舗の現状回復費用などもかかってきます。期間としては、最低でも2カ月半以上、実務上は、1年くらいかかるケースも少なくありません。
M&Aや事業譲渡は、相手探しや条件交渉に時間がかかる一方、うまくまとまれば、解散時に必要な個別清算の負担を減らせる可能性があります。
とくに、管理契約や従業員、取引先関係をまとめて引き継げる場合には、単純な清算より合理的になることがあります。

このテーマでよく相談につながるのが、”「最終的にいくら残るのか」”です。一般的に
・廃業では資産を処分価格で現金化し、税負担が重くなりやすい
・M&Aでは、売却益に対する税率が比較的低く、のれんが加わるため、手元に残る金額が多くなる
とされています。
もちろん、実際には株主構成、保有不動産、含み益、借入、役員貸付金などで結論は変わります。ただ少なくとも、
「解散のほうが単純だから得だろう」
と決めつけるのは危険です。

次のようなケースでは、解散を決めうちする前に、一度はM&A・事業譲渡を比較すべきです。
・収益物件を保有している
・賃貸管理契約が残っている
・従業員や宅建士が残っている
・借入はあるが、事業としては回っている
・会社を閉じたいが、不動産や契約を全部自力で整理するのは重い
・解散した場合の税負担や手残りが気になる
・取引先や入居者、オーナーへの影響をできるだけ抑えたい
不動産会社の出口戦略では、不動産の内容、借入の状況、相続人の意向、税務負担、将来の活用方針を総合的に見て判断すべきです。

1.最初から解散しかないと思い込む
不動産会社では、保有資産や契約関係によって、M&Aや事業譲渡の余地があることがあります。それを検討しないまま解散に進むと、手残りや引継ぎ面で不利になる可能性があります。
2.放置して判断を先延ばしにする
会社を放置していても、固定資産税、修繕費、管理費などが発生し続け、資料散逸や相続発生で手続きがさらに厳しくなると整理されています。つまり、
「まだ決めなくていい」
が、結果として一番高くつくことがあります。
3.不動産だけを見て、契約や人を見落とす
不動産会社の価値は、不動産そのものだけでなく、
・管理契約
・オーナーとの関係
・従業員
・実務の仕組み
にもあります。そこを見ずに解散すると、引継ぎ可能だった価値を失うことがあります。
4.税金と手取りを比較しない
「早く閉じたい」だけで解散を選ぶと、最終的な手取りで後悔することがあります。M&Aや事業譲渡も並行して試算したうえで決めるべきです。

迷ったときは、次の順番で整理すると判断しやすいです。
1.まず会社の現状の棚卸しをする
・不動産の内容
・収益状況
・借入
・管理契約
・従業員
・免許や保証協会の状況
・未了案件
2.解散した場合の費用・期間を出す
不動産会社の解散は、通常の会社よりも長期化・高額化しやすい傾向にあります。
3.M&A・事業譲渡した場合の可能性を比べる
・買い手がつきそうか
・どの事業なら切り出せるか
・不動産や管理契約に価値があるか
・従業員や取引先を引き継げるか
4.最終的な手残りと負担を比べる
・税金
・清算コスト
・時間
・事務負担
・人間関係の調整負担
この比較をしたうえで、はじめて
「解散すべきか」
「M&A・事業譲渡にすべきか」
を判断しやすくなります。

不動産会社をたたむ場合、選択肢は解散だけではありません。
・解散・清算
→ 会社を完全に終わらせる方法
・M&A
→ 会社ごと第三者へ引き継ぐ方法
・事業譲渡
→ 事業の全部または一部を切り出して譲る方法
不動産会社では、
「不動産をどう処理するか」
がすべての判断を左右しやすく、そこに借入、管理契約、従業員、税務、保証協会、相続などが重なります。そのため、
「最初から解散一択で考えるのではなく、M&A・事業譲渡と比較してから決める」
ことが重要です。特に
・収益不動産がある
・管理物件がある
・従業員・顧客基盤がある
・手残りをできるだけ確保したい
という場合には、解散より別の出口戦略を向いている可能性があります。

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